久保田晃弘『ポスト人間中心時代の理性によるデザイン』のメモ
シミュラクラとは何か
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シミュラクラとしてのデザイン
ダン・ゲントナーとヤコブ・ニールセンにより1996年に発表された論文の「Anti-Mac interface」では,従来のマッキントッシュのGUIがアプリケーションの挙動やファイルシステムを「デスクトップ」というメタファーで隠蔽したことに対し,これからのインターフェースは,コンピューターの内部挙動や構造に直接根ざしていることが必要だと説いた。しかし現実は、アダム・ベイカーが「Post-mac interface」(2015)で「simulacra」と表現する発展を遂げる。すなわち,高度の処理とネットワーク,大量のメモリなどを駆使し「実在なきリアル」=「シミュラクラ」を生み出す方向へと進んだ。思考や行動をモデル化したシステムやアプリケーションにより,コンピューターはより私的(=パーソナル)なものになるのみならず,それに準じる人間は,(モデル化された)「人間」(に適合する)ように振る舞うシミュラクラになった。
「ポスト人間中心デザイン」の特徴
A/B/C by 久保田晃弘 (ref. A/B by Danne & Raby)
Alternative
Questioning problem
Change premise
Design for consideration
Design as algorithm
In the service of other
Unverifiable function
For how the world must be
Change both us and the world
Universal fiction
Heterogeneous universe
The unknowable real
Narratives of preservation
Multiplication
Irony
Reflection
Axiomatic Design
Alien
Makes us change
Mathematics
Logics
Anonymous
ポスト人間中心社会と人間の役割
人間 – 選択と寛容性
- 選択
- アルゴリズムが生成する膨大な出力を、何らかの形で圧縮し故障や崩壊を防ぐために「すべきである」「しなければならない」超論理的な選択を行うこと(ref. 宗教や倫理)
- 寛容性
- 自らが理解できる範囲の人間中心の考え方を超え,「不可知(unknowable)」のものを認めていくこと(ref. 量子力学の多宇宙解釈)
- …近代的な「個人」の成立とともにある「中心」概念を捨て去り,人間を超えた理性を獲得する
- 身体的な経験に根ざした「感情」→『 抽象的認識としての概念を操作する能力としての「理性」』
memo
ref:
『ポスト人間中心時代の理性によるデザイン
』久保田晃弘,2018年07月02日閲覧